住民税の取り立ての近年の残酷性

税務調査
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 税務調査(個人事業者)が終了すると修正申告書等を提出し所得税や消費税の追加の納付すべき税額が最終的に確定する。所得税・消費税は税務署(国)に納付し、その後通知される住民税(都区民税や市県民税等)、国民健康保険税(料)は、それぞれの市区役所に、事業税は都県税事務所に納付することになる。

 それぞれの納付期限までに全額納付するのが原則であるが、調査の場合は相当高額になる場合が多く(3~7年分)、一括で納められない場合が多い。昔は銀行が貸してくれたが(修正申告書の提出は儲かっていることの証明)、今は無理である。その場合それぞれの役所で「分割納付の相談」をすることになる。

 現在の預金額等から直ちに納められる金額を納付し、残額(加算税や延滞税を含め)長期分割で支払うことになる。延納できるのは法律的には原則1年間であるが、それで無理であれば1年間延長できる。これは国税も地方税も同様である。では、2年間でも完納できない場合はどうなるか?さらに1年ずつ延長される(職権による延長)。

 毎月の分割納付金額をどう決めるか簡単にいうと、

 (一か月の見込み収入金額)-(一か月の仕入・必要経費の金額)-(一か月の生活費)

=(一か月の納付可能額)となり、

この金額を税務署・市区役所・都県税事務所で奪い合うことになる。どこか特定の機関に優先的に納付するとほかの機関は怒り、冷たい対応を受ける。自分のところだけ優先的に納付してほしいが露骨にそう言うわけにもいかず、納税者はそれぞれの機関で納付相談をすることを余儀なくされる。滞納額については、当然のこと、利息(延滞税や延滞金)がつく。納付相談するとその利率は年利1%くらいになるが、放っておくとサラ金なみの利率となる。

 このうち税務署以外は以前は滞納額を徴収するノウハウがなかった。ところがここ数年市区町村では強引な徴収が目立ってきた。地方税の滞納額がどんどん拡大していった危機感からである。市区役所で前述の手続きを済ませ、まじめに約束どおり毎月納付していたのにもかかわらず、突然、「残額を一括で払え。生命保険も解約して支払え。支払わないと売掛金を差し押さえて、強制的に取り立てるぞ」と連絡が来た。どうしたらいいか。という相談がポツポツ来るようになった。最近の話である。

 その対応策はここでは示さないが、少なくとも税務署が約束を無視してそのような脅しを受けたという話は聞いたことがない。金(金かどうかは別にして)のたまごを産むニワトリを殺すのがいいか、生かして金の卵を産み続けてもらった方がいいのか、考えるべきだと思う。

 法人と違って個人の税金はずっと付いてくる。自己破産しても免責されない。私は税務署在籍中は賦課部門(税金の計算が正しく申告されているかを調査し、誤っていれば正しい金額を確定する)に所属していた。徴収部門に所属したことはないが、それでも税務大学校の担当教授の教えが「血も涙もある所得税」であったことを忘れたことはない。法人税は法人をつぶしてしまえば逃れるが、個人の税金は自己破産しても逃れられないのである。確かに税金の滞納は良くないが、一概に言えない事情もある。事業継続意欲をつぶして、全額回収できるわけでもなく、一時的な自己満足で終えるのがいいのかどうか、考えたほうがいいのではないか。

 

 

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