審査請求で「理由附記」を争っても意味がなかった

税務調査
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 税務署(長)の処分に不服がある場合、国税不服審判所に「審査請求」ができる。処分の内容が違法または不当ではないか、を第三者機関が審査するよう申請できるというシステムである。現在、納税者に不利益な処分をする場合、納税者に対しその処分の理由を記載しなければならないこととなっている。理由が不備であれば、状況次第では処分そのものが取り消されてしまうのである具体的には以下のとおりである。

 ①ある納税者について、税務調査があり、税務署の指摘に基づいて所得税及び消費税について修正申告書を提出した。

 ②その後両税目について「重加算税の賦課決定通知書」が通知された。

 ③その通知に対し「重加算税の賦課は取り消されるべきである」という「審査請求書」を国税不服審判所に提出した。その理由の一つとして消費税の重加算税賦課の理由については、何を言いたいのかよくわからない」と指摘した。理由附記の不備も審判を仰いだのである。

 ④半年ほどたったころ、突然税務署から「重加算税の取消し通知書」が届いた。それに対する理由は書いていない(不利益処分ではないので、理由附記はない。重加算税を零にするという通知である。)それで済めば万々歳であるが、世の中そんな甘くない。同一金額の重加算税賦課決定通知書が同封されていたのである。発遣番号は取消通知書の次の番号で、理由はしっかりと直されていた。まもなく、審判官から「取下げしないか」という電話があった。何か、取下げのメリットがあるかと聞いたら、返答はなかった。その後、処分が存在しないということで、「却下」という裁決になった。審判官が「取下げ」を勧めるなんて、つながっているんじゃないか、という疑念さえ湧く。処分庁が処分を取り消したので裁決は却下ですよ、内容は審査しませんよという通知。経過、理由を裁決書に入れてくれとたのんだら、電話を切られた。結局、理由附記の適否については審判所では審査してくれないということ。

 昔からあるが、税務署が通達によって行政処分をした内容について争った場合、税務署が負けそうになると個別に突然「減額更正」してくる。都合が悪くなると、突然、処分を無かったことにし、内容の判断をさせない。その後、通達改正をする。裁決等で通達の誤りを公表すると、過去の誤りをすべて減額更正しなければならなくなり、とんでもない事態になるからだ。この事例は特に資産税の評価通達に多く、通達改正の大部分はこれだろう。

 また、最初からやり直しと思うとうんざりした。国税庁のホームページに書いたが、当然無視された。

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