政治家や元税務署長に頼んだら税金が安くなった

税務調査
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 税務調査において、大昔は「政治家の一声」や「元税務署長の口利き」があったようです。国会議員等が国税庁の幹部等に電話を一本いれると、上級官庁から現場の税務署に連絡が入り、調査を中止したり、調査額を大幅に減額したりするような事例です。

 ところが、現在は当然のこと、まったくありません。むしろ、やましいところがあるとの推測を受け、さらに厳しい調査が行われる場合すらあります。やましいところがなければ、手を回す必要がないからです。実際、自分が職員の時も何度かありましたが、私はもともと出世に興味がないへそ曲がりでしたので、上司には内緒で、かなり厳しめに調査を行った経験があります(相当昔の話です)。

 また、元税務職員の税理士が税務調査に立ち会うと、かつての同僚や部下と対することがあります。その場合でも、通常の調査が行われます。税理士としては、かつての同僚や部下を巻き込むような恥さらしはしませんし、職員も忖度(そんたく)することは、当然、ありません。公務員法に問われるかどうかにかかわらず、懲戒処分を受けます。ほとんどのOB税理士や職員は「課税の公平」というプライドを持って、仕事をしています。これがすべて、です。

 税務署OB税理士が税務調査では有利なのは事実ですが、忖度するからではありません。部内の処理・取扱要領や極秘データなどを知っているからです。職員に対しては、国税庁や国税局から通達、判例評釈、具体的事例についての対応、業界情報などについて、公開・非公開(マル秘)の膨大な部内情報がもたらされます。また統括官以上になると、KSK(国税総合管理)システムを利用して、欲しいデータを自分で自由に加工して抽出することもできます。それにより、例えば業種ごとの詳細なデータであったり、税務署と交渉する(裁判で勝てる)ギリギリのラインを把握していたりするからです。

 ただし、誤解はしないでください。退職時に書類やデータ等を持ち帰ることはできませんし、ありません。すべて頭のなかです。三十年以上の経験の蓄積は最大の武器です。私の経歴の大部分は個人課税(所得税や個人消費税)ですので「法人税」や「相続税」は、正直いってよくわかりません。OB税理士にはそれぞれ得意分野があります。一口に「税務調査」といっても、法人税や相続税はまったくといっていいほど、異なります。ですから、OB税理士がすべての税目を得意としているわけではありません。それぞれの出身部署、税目については得意ということです。

 これは、違法でもなんでもありません。

 甘言には要注意です。「税金を安くします」という広告には要注意です。

※少し前ですが、安倍首相に忖度して理財局長から国税庁長官になった方もいました。ですので、例外もあるようです。残念ながら、腐ってる職員も、たまにいます。

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