青色申告よりも白色申告の方がお得?

税務調査
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 所得税等(所得税及び復興特別所得税)の申告方法には青色申告と(俗に)白色申告があります。国税庁は青色申告を推奨しており、申告している個人事業者は青色申告の方が多く、一般的です。青色申告になる手続きは極めて簡単で、特別な例外を除き、一定の期間までに「青色承認申請書」を提出すれば足ります。「青色承認を認める」などという通知は無く、「認めない」という通知が来なければ「自動承認」です。青色申告を推奨している理由は、言うまでもなく適切な記帳や原始記録の保存による適正な申告・納税の推進です。

 そのため、青色申告になると多くの特典があります。個人事業者にとって代表的なものは青色申告特別控除、事業専従者給与の必要経費算入、純損失の繰越控除、少額減価償却資産の特例などです。これらの要件の適用条件はゆるやかであるため、税理士が関与していない方でも容易に利用できます。一般的には白色申告よりも青色申告の方が圧倒的に有利で、節税効果も高いです。

 ところが、一部の方はあえて白色申告を行っています。その理由はいくつかあります。帳簿をつけなくても構わない(現在記帳義務はあるが、なくても特に文句は言われない)、税理士に依頼して高い顧問料を払う必要がない(調査を受けて、追加の税金を払っても累計の税理士報酬よりも安い。偽り不正ががなければ、最大遡及年数は5年、場合によっては3年で終了)などがあります。

 また、ある意味税務署が調査で苦戦する別の効果もあります。それは脱税行為に対して「重加算税」を賦課したり、「7年遡及」するのが困難ということです。帳簿や領収書等がきっちりしている方から、例えば「売上計上漏れ」が見つかると、なぜそうなったかを細かく追及していくと「故意に売上を記載しなかった=脱税」を認めさせることが比較的容易だからです。ところが、帳簿もなく請求書控や領収書などの原始記録もろくに保存していない場合は、非常に困難になります。「簿記のことはよくわからない、原始記録もいつのまにか紛失してしまった(わざと捨てたわけではない)」と主張されると「隠ぺいまたは仮装行為」や「偽りその他不正行為」の立証は難しくなります。

 その場合税務署調査官は「質問応答記録書」を作成し、本人に認めさせ「証拠」とします。ただし、これができるのは優秀な調査官に限られ、そもそも(優秀な)税理士が立ち会っている場合は「質問応答記録書」を作成させません。法令に規定のない書類だからです。でないと、本来「重加算税」対象でない内容にもかかわらず、強引に賦課される場合があります。脱税した税金を追加で払うのは当然ですが、本来「重加算税」対象でないにもかかわらず、「重加算税」を賦課され、しかもそれが「質問応答記録書」を証拠とされたものである場合、立会税理士に「損害賠償請求」できる場合すらあります。付け加えると、「質問応答記録書」の作成の際最後に内容に誤りがないことの「サイン」を求められますが、サインを拒否しても結果はほとんど変わらないことに注意が必要です。

 ま、いずれにしても「脱税」しないことが一番です。必ずばれますし、得はないです。税務署から調査(の連絡)があるまではいつでも自主で修正申告書を提出できますし、その場合「過少申告加算税」すら、かかりません。調査の連絡後であっても調査の着手前に自主的に修正申告書等を提出すれば、原則として「重加算税」はかからないし、「過少申告加算税」や「無申告加算税」も減額されます。

 

 

 

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